ŋの英単語帳

英単語

role model

 最近よく聞くカタカナ言葉「ロール・モデル」。

 

 要するに、ヒトサマの手本になるような人物(像)のことらしい。

 

 こんなコトバ、大っ嫌いだ。

 

 ある時代に、そういう人物像が望ましいというロール・モデルがあって、そういう人物になるよう子どもたちが目指して努力したとする。

 そうした子どもたちが大人になった時代に、そのようなロール・モデルが現実の世間ではまったく意味がなくなってしまってたとしたら、どうなるだろう?

 子どもたちの努力がまったくのムダになっちゃう訳だよね。

 

 私の子供の頃、女性のロール・モデルってば専業主婦だった。現代、専業主婦は絶滅危惧種、というか、なりたくてもなれないという現実がある。

  だから私ぐらいの世代の女性で「お嫁さん」としての「いい子」であろうと努力してきた人たちは、うまく専業主婦の地位に納まれた人は幸運だけど、そうでない人は…

 

 毎年、子どもたちがなりたい職業なんてのが発表されて、2018年1月の発表によれば男子の一位は「博士・学者」だって。うーん、努力すれば博士にはなれます。偏差値50程度以上の学力と、博士の学位をもらうための学位論文を執筆する根気さえあれば。でも学者は…女性にとっての専業主婦以上に、なりたくてもなれない職業だし、いまの子ども世代に対しては、とうていお勧めできない職業だ。正直ツラいっす(多くは語りません)。

 

 男の子たちが学者というのは、ノーベル賞の受賞者(これも大層なロール・モデル)とかを見て、それで学者なんて言うのだろうけれども、ああいうのはプロ・スポーツのスターと同等以上の話で。ノーベル賞受賞者一人の足の下には、挫折した数万人の死屍累々がある。死屍累々の上に彼はひとり立っているのだ。

 

 そうした死屍累々を考えれば、いかにロール・モデルというのが悲しく厳しくケッタクソ悪いものであるか、分かってもらえるだろう。

 

附記 2019年、東京大学入学式での上野千鶴子氏の祝辞が物議を醸した。以下あくまでもわたくしの個人的見解:あれは、ねえ…東大名誉教授の自分こそが女性研究者のロール・モデルである!とでも言いたげに聞こえるんだよねえ。